なんてつメモ

どうってことない日々のあれこれ

塩田武士 罪の声 講談社

罪の声

罪の声

グリコ・森永事件を題材にした小説。
当時、私は高校生。何と大胆な脅迫犯なんだろうかという驚きと、ポッキーが食べられなくなった悲しみwが記憶に残っている。
そして、子供の声の指示テープ。あどけない声だったから、印象に残っていた。
確かに、自分の子供に犯罪の片棒を担がせる親がいるのだろうか。と思っていたので、この小説のポイントであるから、興味を持った。
私たちが当然新聞等の報道で知っている事実と、作者の創り出すフィクションの部分の融合が上手いなぁ。
もしからしたら、これは真実なのかもしれないと思ってしまうほど。
ただ、エモーショナルな描写も多いのも気になるし、ご都合主義な点もある。それでも、最後まで頁をめくる手を止められないのは、
作者の熱量だと思う。
一つ一つのパーツが繋がって、一本の線になる面白さは堪能できました。エンタメとして面白かった。

ただ、願わくば、あの声の子供たちは、実際はお気楽に表の世界でつつましくても生きていてほしいと思う。
それにしても、この事件に関わることになってしまった人たちには、多くの影を落とすことになったことと思うと、私の想像の及ばない
苦しみが残しているのだ、と思う。劇場型犯罪の言葉の発端となった事件は、いろんな想像力をかきたてられる。