なんてつメモ

どうってことない日々のあれこれ

読んだ

去年は、あまり読書が進まなかったのに、記録も残せていなくて反省。年末にかけて読んだ本は、どれも熱量がすごくて、引き込まれるものが多かった。今年は、感想を忘れないうちに記録していきたい。ささやかな年初の計画。

 

*【BOOK】逢坂 冬馬 同志少女よ、敵を撃て 早川書房

ラノベぽい表紙に騙されるところだった…

ウクライナの戦時下もこんな感じで日々過ごしているのかと想像するだけで絶望的な気持ちにさせられる。戦争が終わったところで、平穏な日常が訪れるのか。幼馴染の変節を目の当たりにしたり。なんていうのか、それを責められるのか、罰することができるのか、正義はどこにあるのか。この問いかけに正解を出すことができるのか。頭で考えたところで、戦場に立った時に、何もかも放り出してしまうかもしれない。色々なことを考えさせられた。

 

*【BOOK】寺地はるな カレーの時間 実業之日本社

カレーといっても、レトルトカレーだった。成人した孫に甘口のレトルトカレーを用意するお祖父さん。孫の幼かった時の思い出の味を今も変わらないと信じ込んでいる不器用さが可愛い。レトルトカレーの黎明期に営業を掛けていたお祖父さんの半生は、結構辛口。離婚の原因も子供に話さず、胸の内におさめてきたところも昭和な感じだと思う。何というのか、多様性ってこういうことだよなぁと思いながら、読んだ。カレーが食べたくなるのは確か。複雑だけど、すっきりした味わい。

 

*【BOOK】湯本 香樹実 橋の上で 河出書房新社

 

*【BOOK】村山 由佳 風よあらしよ 集英社

遠い昔の記憶では、大杉栄伊藤野枝に関する教科書の記述は2,3行程度に過ぎなかったと思う。井戸に打ち捨てられた男女と子供の遺体。特高って何でもありだなぁという恐怖。この時代背景の描写と現在がそう変わらないことに気づいてくる。

伊藤野枝が生きた時代は、女性が声をあげることが今よりも難しいというか、耳も傾けてもらえなかった時代である。そこに圧倒的な熱量で駆け抜けていった人だと思った。やっていることは無茶だと思うが、思想もありつつ、感情にも素直というのか直情的というのか。信じた人に対する尽くし方が凄すぎる。大杉栄が信じるに足る人であるかどうかは判断が難しいというか、「自由恋愛」という言葉で女性を丸め込むような人は駄目だよねって思うが、どうも天性の人たらしであったが故に、お上に目をつけられたことになるのだろう。カリスマ性といったほうがいいのかな。でも、経済力がなさすぎである。と、傍目からは思うが、野枝は大杉の思想に共鳴し、支え続けるのは、彼が彼女の思いに初めて耳を傾けて、認めたからなのだと思う。それぐらい、窮屈な時代に生きていたのだと思う。気が付けば友達と思っていた人から距離を置かれる。それでも、自分の信条を信じて突き進む圧倒的な情熱の塊の人の半生を、すごい熱量で書き上げた大作。これ、NHKBSプレミアムで全3回のドラマで制作されたけど、収まりつかないやろ、って思った。見ていないから、知らんけど。

もし、大河ドラマで取り上げてくれたら、すごいよね。