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どうってことない日々のあれこれ

風間薫 真犯人 徳間書店

真犯人―「三億円事件」31年目の真実

真犯人―「三億円事件」31年目の真実

面白かったよ。中原みすずの「初恋」を読んだ人や映画を観た人には、お勧めできる、かな?
でも、これが一般書店に並んでいたのが驚きだよ!しかしながら、恐ろしく稚拙な文章なので、読みづらい。美大卒のジャンク・アーチストだからなのか、やたら装飾的な文体に参ってしまう。「三億円犯人の真相」というサブタイトルはついているけど、同じ時代にジャズ喫茶にたむろしていた中の一人を昔を懐かしんだ回顧録に過ぎないような気がする。彼女は、この事件の関係者ではなくて、当事者かもしれない「坊城ミス」の書いた「記憶のカルテ」の中身に対しての追求になっている。作者は坊城ミスに激しく嫌悪しているけれど、私から見たらどっちも似たり者同士だ。

この小説は、やたらと他者からの著作や新聞記事の引用が多いが、巻末に参考文献としての一覧表があるわけでもないし、映画からの台詞も引用しているけれど、その映画についての説明もないので、いまひとつ誠実さに欠けるんじゃないか。それから、三億円犯人の名前も出ているけど、これって実名なの?でも、小説だしね(笑)



あ、映画に出ていた柏井モータースの親父さんと岸との関係がわかって、ちょっとすっきりしたかな。つか、原作本を読めって話だよね。一応、「初恋」よりも出版時期は早いです。もしかして、坊城ミスがこれを読んで、修正して出した本が「初恋」だったら面白い話だなぁーと思いました。