なんてつメモ

どうってことない日々のあれこれ

ぜんぶ、フィデルのせい

2006年 フランス 時間:99分 配給:ショウゲート
監督:ジュリー・ガラウス 出演:ニナ・ケルヴェル/ジュリー・ドパルデュー/ステファノ・アルコシ他

シネカノン神戸にて

可愛いフラットカラーのワンピースを着ている女の子がとんでもなく不機嫌顔のふくれっ面のポスターが印象的だったのね。
その女の子アンナの視線がとても客観的で冷静に自分なりに状況を理解しようとする姿勢が、子供を子供扱いしない国なのね、と
思いました。ま、いろんな家庭があって、いろんな躾があるんだろうけどね。
70年代のパリが舞台。全世界的に社会運動が盛んだった時期だったのね。スペインで反政府活動をしていた伯父の死をきっかけに、
アンナの両親がなぜだかチリに向かうのだ(この経緯がよくわからなかった)帰国した両親は、思い切りわかりやすいオルグされて
しまって、アンナが面食らうところが好きだ。こういうのって、中流階級で何不自由なく暮らしてきた人たちがカルチャーショックを受けてあっという間に感化される様って、ありがちだよなぁーと苦笑い。
今まで、庭付きのお家、名門の学校、優しいお手伝いさん、バカンスはボルドーって優雅な日常を過ごしていたのに、反共主義のお手伝いさんが解雇され、狭苦しいアパートに引っ越して、弟とは同じ部屋にさせられる。その環境の激変にアンナは不満を募らす。
だけど、両親は一方的に自分達の考えを押し付けずに、ある程度のアンナの主張を認める部分もある。そこらへんが、日本映画にはないところだよなぁと思った。アンナも今の環境の変化について、冷静に分析を始めていく。ギリシャベトナムのお手伝いさんとか、常にたむろしている父親の同志のヒゲ面の兄ちゃん達に話を聞く。で、自分の中で理解していくんだから、聡明すぎる。
両親も志が同じ方向というわけでもなく、個々の視点での社会活動をしていくところが、個人主義の国なのだと思った。
そういう変化にともなって、アンナの服装や髪型が変化していく様子が面白かったです。最後のチュニックはやっちゃったなと思われて残念。
でも、アンナは、社会運動の理解よりも両親の活動を理解したいという思いが強いんだろう。父親の活動は成果を出すことは出来なかった、これからの人生をどう進めていくんだろうかと思った。今更、元の生活に戻れるわけもないしなぁ。とあの一家の今後について切なくなってきた。