門田隆将 なぜ君は絶望と闘えたのか 本村洋の3300日 新潮社
- 作者: 門田隆将
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2008/07/16
- メディア: 単行本
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裁判では繰り返し事件の内容に詳細に確認し続けるわけだから、本村さんを始めご家族の苦痛は本当に耐え難いものだったと思う。特に娘を亡くした母親の思いは想像するにしのびない。そうした3300日の日々の中には、彼をいろんな面でサポートし続けた人たちが少なからず存在したことは、唯一の救いかもしれない。そして、人との出会いが強い力となって、あらゆる司法の壁などを動かしたのかもしれない。そして、エピローグでは死刑の判決を受けた加害者が初めて贖罪の言葉を口にするくだりで、本村さんが心から望んでいたのは罪を罪として認めて、その重さを感じるようにさせることだったのかもしれない。
ただ、著者は些細な事柄にかなり主観が混じることが見受けられて、時々しらけることがあった。本村さんに対する思い入れが深いのはわかるけど、もう少し第三者に徹して欲しかった。あと、どうでもいいんだけど、関西人特有の馴れ馴れしいしゃべりってくだりがあったんだけど、それは馴れ馴れしい関西人であって、関西人がすべからく馴れ馴れしいわけじゃないんでそこんとこよろしくお願いしますよ。本の内容と離れたところでくいついて、すいません。
しかし、裁判員でこんな事件に関わらなければならなくなったら、私は冷静に判断できるかって自信がない。そんなことも考えながら読んだ一冊。