なんてつメモ

どうってことない日々のあれこれ

今村夏子 星の子 朝日新聞出版

星の子

星の子

主人公ちひろの病気がきっかけで、信仰にのめりこんでいく両親の様子が淡々と描かれていく。
それについていけない姉は家を出る。
ただ、ちひろの症状が回復するのを目の当たりにした両親の気持ちも理解できる。
引っ越すたびに狭くなる家。大きくなる祭壇。詳しくは書かれていないのに、
息ができなくなりそうになった姉の気持ちがよくわかる。
自分の家がかなり他の家庭と違っていることをわかりながら、
自分の両親を断ち切りがたい逡巡した気持ち。
きっと、これからも、ちひろは薄い膜のはった世界で生きていくのだろうか。
ラストは、膜を破りそうな娘とそれを引き留めたい両親の攻防のよう。