なんてつメモ

どうってことない日々のあれこれ

人生に乾杯!

2007年 ハンガリー 時間:107分 配給:アルシネテラン
監督:ガーボル・ロホニ 出演:エミル・ケレシュ/テリ・フェルディ/ユディト・シェル/ゾルターン・シュミエド  他

シネ・リーブル神戸にて

この映画のポイントは自動車とイヤリングと大きな熊のぬいぐるみ。

ヘデルの着ている服が地味なんだけど可愛いんだよねぇ。そこらへんが元令嬢って雰囲気が醸し出されている感じ。苦しい生活なのに気持ちが荒むことのなかったヘデルを見ていると、エミルは自動車並みに無骨だけど良い夫だったんだろうなぁ。

老夫婦は年金生活だけどそれだけでは暮らしはままならず、税金の支払いも滞るばかり。滞納分を支払うのに、妻のヘデルがイヤリングを差し出すのを見て、夫のエミルは長年寝かせていた車を引っ張り出して、強盗に出かけたのでした。イヤリングは二人を結びつけた思い出の品。そこから、50年の歳月とその間の社会情勢の変化が見て取れる。エミルは強盗って言っても、高圧的じゃないし、折り目正しさもあるので何だかほほえましい。彼らの道行きを同世代が共感して、自分たちの生活向上を訴えデモ行進まで始める動きまで昂じていく様子はちょっとワクワクさせられた。彼らは今までつつましく生きてきたんだから、少しの贅沢を味わったっていいじゃない?みたいな気持ちになる。ま、それは人様のお金なんだけども。

エンディングは、そんな!と出かけた涙が引っ込むぐらいのやられてしまった感。でも、それが夢かどうかは観る人に判断は委ねられているのかも。私としては、「海が見たかったわ」と呟くヘデルの願いは叶えられたと信じたい。

真面目に面白くて温かみのある作品だと思う。ハンガリーがそういう国なのかしら。