なんてつメモ

どうってことない日々のあれこれ

ツォツィ

2005年 英・南アフリカ 時間:95分 配給:メディア・スーツ/インターフィルム
監督:ギャヴィン・フッド 出演:プレスリー・チュエニヤハエ/ZOLA/テリー・ベート他
原作:

ツォツィ

ツォツィ

サントラ:
「ツォツィ」オリジナル・サウンドトラック

「ツォツィ」オリジナル・サウンドトラック

シネ・リーブル神戸にて鑑賞

南アフリカ貧困層が暮らすスラムと富裕層の暮らす地区の極端すぎる落差に驚かされる。同じ黒人(部族によって違いがあるのかもしれない)でも勝ち組と負け組が存在する。貧困層から脱出するのには、かなりの努力と幸運がなければ絶望的だ。ある程度勉強が出来ても、経済力、その他の事情で進学を断念せざるをえなくなり人もいる。そんなこれからの人生に何の希望を見出せないまま、人を死に追いやっても、当座の生活資金を得るためにギャングに走る若者達。そんな人たちの象徴として「ツォツィ」が描かれているんだと理解した。この作品の結末は、ツォツィと呼ばれたディヴィットには人間としての良心を取り戻すところで希望の光を見ることができる。けれど、そこに至るまでに、彼は何人の人たちを犠牲にしたことだろう。そして、彼に人間としての情を亡くしてしまうようにさせた過去を考えると、恐ろしくなってくる。
ツォツィと同じスラム地区に住むミリアムは夫を強盗殺人で亡くして、赤ん坊を抱えつつも、懸命に真っ当に生きていっている。人への思いやりは忘れていない。彼と彼女の違いは一体何なんだろうな。やっぱり、親の愛を充分に受けてこられてたかどうかってことなのかなぁ。
それから、南アフリカ貧困層の問題は自国努力だけは解決できる問題ではないし、この国に限らず、アフリカの諸問題は、先進国といわれる国が彼らに犠牲を求めた結果である。ただ、単に「ツォツィ」の生き様を同情するだけではこの映画を観る意味がないと思うのです。