なんてつメモ

どうってことない日々のあれこれ

人生は、奇跡の詩

2005年 伊 時間:114分 配給:ムービーアイ
監督:ロベルト・ベニーニ 出演:ロベルト・ベニーニ/ニコレッタ・ブラスキ/ジャン・レノ


三宮シネフェニックスにて鑑賞

なおざりなタイトルをつけたなぁと思ったけど、前々作の「ライフ・イズ・ビューティフル」も似たようなものだわ。ベニーニの作品って、タイトルが付け難い?原題は「雪と虎」、これもどうなのよ?余り集客効果がなさそうな感じだなぁ。ま、全編通して観れば、このタイトルしか付けようがなかったのかもと思い直したけど。

イラク戦争はまだその全てが明らかになっていないような、まだ終わっていないような状況の中で、どうして映画にしようと思ったのか、興味があったのね。

冒頭の結婚式らしい場面からいきなり付いていけず、何故ベニーニ演じる詩人のアッテリィオが下着姿なのかもわからずに先行き不安になった。しばらくして、何度となく繰り返し出てくる夢だとわかる。詩人なので、アッテリィオがもう機関銃のように言葉を紡いで話し出す。ベニーニは言葉だけでなく表情まで感情豊かであるので、ちょっと飽食気味になった。何故、彼がこんなにまで、言葉を紡いでヴィットリアをかきくどくのか判らない。彼は風采はイマイチだけど、結構持てるみたい。こんな感じで前半は状況がさっぱりわからずに、どうなってしまうのかしら、と戸惑いのほうが強かった。
後半、イラクへ帰国した詩人のところへ行ったヴィットリアが怪我を負って入院したと連絡を受け、アッテリィオは子供たちが遊びに来ているのに置いてきぼりにして、イラクへ向かう。当然、戦争に突入しているので、飛行機は飛ばない。ここからが、ベニーニお得意のユーモア混じりの奮闘振りが発揮される。戦争が始まっているのに、いささか能天気気味のアッテリィオが段々と激しくなる戦況の中で戦争の恐ろしさを自覚しつつも、ただひたすらに愛のためだけに危険を省みず突っ走る、その必死さに目を見張るばかり。彼の奮闘ぶりは、彼女の入院先の医師が「大河の一滴に過ぎない」とつぶやくように、ほんの些細な力にしかならない。それでも、最善を尽くす彼と対照的に、絶望して自殺してしまうイラク人の詩人。そこは戦争とは思えないほど花盛りの美しい庭先。ここが一番印象に残った場面だった。彼は言葉を紡いでも、何も変わらない現況に絶望してしまったのかもしれない。この2人の違いは一体何だろう。

いろんな疑問を抱えつつ、ラストへ。ここでようやく、全ての疑問が解決。冒頭の場面も納得。とても美しい結末。愛の国、イタリアって感じでいいですか?ベニーニって本当に凄いね。あれはかっこよすぎだよ。10割増しで男前に見えるもん。

でも、見事だとは思うが、策に溺れ過ぎているような気もしないでもない。あと、10年はベニーニを観なくてもいいやって気分。

トム・ウェイツの歌はとても良かったよー。あと、有名な詩人がカメオ出演しているのがポイントらしいが、ヨーロッパは割りと詩人もメジャーな立場にあるのだろうか。もし、そうなら、豊かな国なんだなぁと思うよ。

どうでもいいが、松崎しげるの「愛のメモリー」がサンレモ音楽祭で優勝したのがわかるような気がした。もう、愛がいっぱいですよ。あふれすぎて大変だ(笑)