なんてつメモ

どうってことない日々のあれこれ

キンキーブーツ

2005年 英 時間:107分
監督:ジュリアン・ジャロルド 出演:ジョエル・エドガートン/キウェテル・イジョフォー/サラ=ジェーン・ポッツ他

キンキーブーツ [DVD]

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最初はへたれ経営者のチャーリーに自分の身と重ねつつ応援していたけれど、途中でドラアグクィーンのローラにシフトチェンジですよ。ローラが少しずつ自分をさらけ出してく過程が健気で素敵だ。メイクを落としたら、めちゃ乙女なところも好感持てるし、いざとなったらの勝負強さを発揮するところが男前です。おいしいところ取りだ。冒頭の少女(年か?)のダンス場面が中盤に大人になったローラで再現されるところはよくわからなかったのだけど、あれは父親に対する意思表明だったんだね。何もかも、すっきりさせて颯爽とした登場するローラが最高にかっこいいっす。へたれながらも頑張ったチャーリーはもっと空気を読め!(ローラに八つ当たりすんなよ)と思うんだが、工場に対する愛こそが従業員たちが彼を支える原動力になっているっつー人情味あふれる展開でよかったなぁ。
でも、もっと彼らの感情の機微を描き込んでくれたら、想いがもっと深まるのに。ストーリーはかなり端折り過ぎた印象。
ローラがメインだったほうが面白かったかも?

*[DVD]プルートで朝食を
2005年 英・愛蘭 時間:127分
監督:ニール・ジョーダン 出演:リアン・マーフィー/リーアム・ニーソン/スティーブン・レイ他

プルートで朝食を [DVD]

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原作:パトリック・マッケーブ
Breakfast on Pluto tie-in

Breakfast on Pluto tie-in

「キトゥンのこれが私の生きる道」とか「嫌われキトゥンの半生」って感じかな?ポスターの可愛さに釣られたんだけど、一見軽い感じで見せておきながら、とんでもなく切なくて深いストーリーだったよ。
キトゥンは、先日観た「麦の穂を揺らす風」でIRAと戦っていた人じゃないのー。180度違う人になっていてびっくりしたよ。今度はアイルランドから飛び出したのね。
キトゥンの内面の複雑さは、そのまんまアイルランドの内情と重ねあわせたかのように見える。ただ、全く持って不条理で理不尽の世界の中で軽々と飛び越えてみせる強さもある。彼の描く空想世界はある意味逃げかもしれないが、いつ爆破テロが起きるかわからない現実の中で自分を見失わずにいられるのは夢があるからだと思う。
そして、人の弱さをこれでもかと見せられる。この作品に出てくる人たちは、対峙すべき人たちときちんと向き合あってない。キトゥンにしろ、神父にしろ、チャーリーとアーウィンにしろ。キトゥンの母親にしても、過去を隠して、今を生きている。その恐る恐る手探りで生きていくけれど、キトゥンは自分を偽っているけれど、母親と対面したことで決着をつけたのではないかな。チャーリーとアーウィンは結局お互いの大事なものを失ってしまうけれど。
彼は「愛されたい」願望が強いけれど、実はとても愛されている人なのよね。というか、人は誰かに寄り添って、助けたり助けられたりするのだと思わせるエンディングはとても好きだ。でも、キトゥンにはこれからも様々な壁が立ちはだかるってのには違いないが、それを乗り越えるだけのものを彼女は持っているという希望があると思わせる。生きていくことは、良いことも悪いこともひっくるめて背負い込むことなのだなと、それを引き受けることなのだ。そんなことを思わせてくれる作品だよ。

でも、アイルランド問題は本当に難しいと思う。教会に火をつけられたのも、紛争絡みなんだろうか。そこらへんの事情を深く理解していると、この作品の本当に伝えたいことも判るのではないかなぁ。勉強不足を実感する。