なんてつメモ

どうってことない日々のあれこれ

イブラヒムおじさんとコーランの花たち

2003年 フランス 配給:ギャガコミュニケーションズ 時間:95分
監督:フランソワ・デュペイロン 出演:オマー・シャリフ/ピエール・ブーランジェ他
原作:エリック・デマニュエル・シュミット

モモの物語

モモの物語

最初はイスラム万歳みたいな感じなのか(爆)と思いつつ観ていたのだけど、イブラヒムおじさんにとっては、コーランは心の糧というか支え、生活の指針って役割のようだ。礼拝も毎回きっちりとやっているわけでもなさそうだし、お酒も飲んでいるし、他の宗教の教会を覗いてみたりと寛容な感じ。本来の信仰ってそんなものじゃないかと思う。

イブラハムおじさんがモモにあんなに親身になっていたのは、あの子供の中にある孤独を自分と共通のものとして見抜いていたからじゃないか。だからこそ、まだ子供で、親に愛情を注いでもらってないような彼に生活の智恵とか自分の信条みたいなことを教えて、生きていく拠り所を見つけて欲しかったんじゃないか。それが後半の自動車旅行になったのかなぁ。外国で異文化を知る一方でコミュニケーションを取る難しさを知ったり、最後は自分の故郷に戻ったおじさんは生きていく場所をそれとなく彼に教えていたのかも。

それにしても、結構ドラマティックな展開になるはずが、反して物語は淡々と進んでいくので、これでいいんだろうかと思いつつ観ていたけど、終わってみればなんとなしにほんわかした気分になる不思議な作品だった。やっぱり、おじさん演じたオマー・シャリフの魅力によるところが大きいのかな。お茶目なところもあって可愛いおじさんだったよ。

不思議に思ったのは、モモのパパがやたらと引き合いに出していたモモの兄ポポロ(だっけ?)の存在。ママンが迎えに来たときに「子供はモモだけ」と言っていたけども。パパが創り出した理想の息子だったんだろうか。パパとおじさんと違うところは、本に逃げ込むかどうかってことなのか。パパは理想の世界に逃げ込んで現実に向き合う強さを持てなかったのだろうか。


シネ・リーブル神戸にて鑑賞