なんてつメモ

どうってことない日々のあれこれ

 らくだの涙

2003年 ドイツ 配給:クロックワークス 時間:91分
監督:ビャンバスレン・ダバー,ルイジ・ファロルニ
出演:遊牧民一家と親子らくだ(アバウトでスマソ)
公式サイト:http://www.klockworks.com/rakuda

チラシには「大自然に生きる遊牧民一家が子育てできない母らくだの心を癒す奇跡のドキュメンタリー」と書かれてあるけど、んーとちょっと違うかなって感じです。

お母さんラクダは難産の末産まれた子ラクダを全然面倒みようとしない。遊牧民の家長いわく「こういうことはよくあること」らしい。子供がお乳を飲もうとしても、体全体で拒絶するし、いつも1頭だけでポツンといる。子供はとても悲しげに泣く。お母さんに甘えたいような恐いようなおびえたような様子。他にも飼っている羊や山羊はあんなにたくさんいても、自分の子供を見分けてちゃんと授乳しているっていうのに。と、ここまで書けば、親子ラクダが気持ちを通いあわせるまでを描いているのかと思われるかもしれないけど。それと同時に遊牧民一家の日常も描いている。むしろ、母子らくだの光景は彼らの生活から見える風景の一部と言ってもいいかもしれない。

遊牧民の一家の生活ぶりは見ていて、とても質が高いように思える。子供たちが町へラクダに乗ってお遣いに行くんだけど、町には送電線も通っていて、テレビを見ることもできるし、ゲームもあるし、バイクや自動車も走っている。とても便利で目を輝かしている子供たちの気持ちはわかるけれど、町の人の表情には余り生気がないように思えるのは気のせいだろうか。

この一家は、泰然自若としているというか、自然に合わせて生活しているからかあくせくとしたところがない。母子ラクダの確執を見ていても、何とかなるよって構えている。そういうのがいいなぁと思う。そして、最後に臨んだ療法に驚かされた。音楽は動物をも癒すの?こんなのよく出来たドキュメンタリーってあるんだろうか(笑)って思うけど、昔から失敗したことはないそうですよ。自然の神秘だなぁ。

この映画は実に淡々と進んでいくので、とても眠たくなります。なんか、良い夢が見られそうな気がするくらい心地よい睡魔が襲うので、気をつけたほうがいい。きっと、ビデオやDVDだと早送りしてしまいそう。なので、劇場で観たほうが良いかもです。

シネ・リーブル神戸で鑑賞