なんてつメモ

どうってことない日々のあれこれ

重松清 卒業 新潮社 

卒業

卒業

相変らず安定感のある仕事をしてるなぁと感心しながら、電車の中で読んでいたらやっぱり涙腺を刺激させられた。やっぱり「重松清」だったよ。

「家族の死」をどう向き合うかをテーマにしている短編集ではあるけれど、やっぱり親の存在って大きいというか越えられない存在だなと思いつつ読んだ。自分を全肯定してくれる人達がいるってことはホントに心強いことだと今は少し思う。自分が親を全肯定できるかと言えば、正直首を縦に振ることは難しいもの。だけど、切り捨てることなんて到底出来やしない。それが家族と言う集団のよいところでもあるし難しいところでもあるなぁ。そんな存在を失ってしまうことの喪失感は計り知れないものがあるんじゃないかなぁと思う。そんなことを四編の短編を読みながら感じた。

「まゆみのマーチ」で母の愛の深さにのっけからノックアウトされてしまった。「仰げば尊し」で自分の父親を失った小学生の教え子と今失いつつある小学校教師のそれぞれの思いにぐっときて「卒業」で自殺した父親を持つ少女の葛藤や妻の思いにもやれて「追伸」のなさぬ仲の親子の確執から和解の過程にジンとなってしまった。何から卒業するのか、それぞれの思いにこちらの思いも重ねながら読んでいった。