なんてつメモ

どうってことない日々のあれこれ

大阪ハムレット

2008年 日本 時間:107分 配給:アートポート
監督:光石富士朗  出演:松坂慶子/岸部一徳/森田直幸/久野雅弘/大塚智哉 他

原作:森下裕美 

大阪ハムレット (1) (ACTION COMICS)

大阪ハムレット (1) (ACTION COMICS)

シネ・リーブル神戸にて

原作未読。短編集に出てくる話を1つの家族にまとめて作られているらしい。なので、少しストーリーが弱いかなぁと思う部分があるかと思うんだけど、3人の子供たちの悩みは様々ではあるけれど、どれも結構深いと思う。それを暖かくおおらかな気持ちでうけとめてやれるけど、怒るときにびしっと怒る「おかん」の松坂慶子の存在は体型じゃなくても大きくて頼もしい。そして、何だかとても可愛らしい。生きていくことは難儀やなぁと思うし、三男の悩みはかなり切実だけど、それを家族が自然の成り行きとして認めているところにちょっと涙腺が緩んでしまった。この作品に出てくる人たちは、誰もが何かしら生きていくことに窮屈な思いを抱えていたり、悩んでいたりするんだが、誰かと関わることでその思いや悩みが消えることは無くても、重荷が少し楽になっていくことにとても好感を覚えた。結局、生きていくことは誰かかどこかで関わっていくことで色んな問題が生じたり、解決したりの繰り返しなのかもしれないと思う。そこを断ち切ってしまったら、何もない世界で生きることになる。そうやって人生を送る人もいるのかもしれないけど。
一番印象的なのはタイトルの「ハムレット」な次男の存在。ヤンキーなのに、ハムレットを借りて、辞書を引きつつ、完徹して、きっちりストーリーを消化して諳んじてしまえる子って、そんな奴おるかぁって思えるんだけど、根がなんだか素直で憎めないです。なんで、ヤンキーになったのか不思議(笑)。突然現れた父親の弟の存在を素直に受け入れているのも、可愛い。
そういえば、ここの家族の親戚付き合いのルールが少し不思議だった。葬式は来なくても、出産の報告をしたりとかw。きっと、いろんな事情があるんだろうな。
さて、松坂慶子大阪弁はどないやねん?って感じでしょうが、途中でそんなのどうでも良くなってくる。それが松坂慶子の魅力なんだなぁと思う。この作品は、誰かが突出した芝居をして引っ張っていくのじゃなくて、それぞれがそれぞれの持ち味を十分に出して、お互いを引き立てあっているところにも好感がもてた。加藤夏希本上まなみとか。個人的には本上まなみはあれぐらいのセリフ量がベストだと思うなぁ。なんか全体的に暖かい雰囲気に包まれた映画だった。笑ったり泣いたり忙しい2時間だったわー。

主題歌はなくてもええやんか。