なんてつメモ

どうってことない日々のあれこれ

読んだ

石田香織 うめももさくら 朝日新聞出版

うめももさくら

この表紙を見たら、ほんわかしたハートウォーミングな話だと思っても不思議はないでしょ?実は、とてもシビアなどシリアスな話で、身につまされるものがあった。

シングルマザーの「ママ」の半生が何とも切なくて、毒親(母親)への葛藤が根深くて、それが「ママ」が母親になってからも、少なからず影響を与えていること。「ママ」が職場で一緒に働く同僚も、いろんな事情を抱えて生活している。そこには甘い要素がこれっぽちもなくて、ただひたすら生きていく。強さもあるし、弱さもある。ただ「ママ」を取り巻く環境は厳しい。これを自己責任で片づけてしまうのは、どうなんだろう。ギリギリのところで踏ん張って生きていく「ママ」がいつか踏ん張れなくなって、糸が切れてしまったときに、子供たちはどうなるんだろう。そういう思いで働いているシングルマザーの方たちは少なからずいるんだろう。私も、小説に出てくる「池ちゃん」と同じ。みんな際際のところで頑張っている。だけど、一歩道を間違えてしまうと、這い上がれなくなるかもしれない。そんな思いを抱えて生活してることを、否応なく実感させられる。

これを別世界の話だと思える人は幸せなのかもしれない。でも、幸せの基準は人それぞれ。何ともやりきれない気持ちになった。