なんてつメモ

どうってことない日々のあれこれ

チェンジリング

2008年 アメリカ 時間:142分
監督:クリント・イーストウッド 出演:アンジェリーナ・ジョリー/ジョン・マルコヴィッチ/ジェフリー・ドノヴァン/コルム・フィオール/エイミー・ライアン

チェンジリング [DVD]

チェンジリング [DVD]

あまりの尺の長さに見る前からうんざりしていたんだが、すぐに引き込まれた。そして、最初から最後まで圧倒されっぱなしだった。しかし、よくこの尺に収められたよなーとも感じた。
1928年ロサンゼルスが舞台に実際に起きた事件を元にしたストーリー。シングルマザーのクリスティンの息子がある日突然の失踪。何の手掛かりが得られないまま、半年後息子が見つかったと知らせを受けて、駆け付けるも全く別人だった、という展開。
息子が失踪して、それを見つけるのがメインなのかと思ったら、警察の怠慢な捜査方法に唖然としてしまい、疑念をぶつけるクリスティンに精神病院へ送り込ませる強権発動をしてしまう傲慢ぷりがボリュームたっぷりに描かれていく。途中でこれは当時の警察の腐敗ぶりを暴きたいための映画なのかと思ってしまうほど。
息子が巻き込まれたとわかる事件の犯人と共犯者が見つかるわけだけど、(わざわざ快楽殺人の犠牲者を脈略もなく無作為に選んでいるのに、名前と顔を覚えているものだろうかと思った。)他の被害者家族と法廷を見学したり、犯人と刑務所で面会したり、処刑にも立ち会ったりする。常に真正面から最愛の息子を探し出したい一心で厳しい現実と向き合っているヒロインの強さは母性そのものなのか。息子の失踪という事実だけでも辛いのに、自分の精神状態を疑われ、心身とも傷つけられても、正常な気持ちを保たれるものなのかなと思った。
息子の生存をあきらめてかけたときに、彼女にとって朗報が持たされる。それが、本当に彼女にとって良い知らせなのかどうかはわからない。でも、彼女には生きていく支えとなる。
私は、それが「パンドラの箱」だと思った。その結末がよいのか悪いのかを判断する前に、人はこうやって生きていくんだ、と思った。監督が何を考えて、この作品を作ったのかはわからないけれど。