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選べなかった命 出生前診断の誤診で生まれた子

河合香織 選べなかった命 診断の誤診で生まれた子 文藝春秋

この裁判は記憶に残っていたけれど、母親が医師を提訴した真の理由まで知ることはなかった。出生前診断で病気である可能性が高かった場合、どうするのか?という答えの出し方は難しい。

その答えは誰かを傷つけることになるから。かなり感情的というか情緒的な問題なのに、それを裁判で答えを見つけるのも厳しいことだ。

裁判で現行の法律に則って、法のなかで判断するしかないものだと思うから。

著者は、病気を持っている子、その親、親族らにインタビューを重ねてきた。それぞれの立場や家庭的な事情、経済的な事情等、どのケースを見ても、事情は察することはできるし、批難するものでもない。

誰も批難できる立場でもない。

それから中絶する理由が「経済的事情」か「身体的事情」しか認められないってことを初めて知った。

科学の進歩で遺伝子レベルでの操作が可能になってきそうな時代に差し掛かっているからこそ、命に対する議論を尽くすことが必要なのではないかと思う。