白バラの祈り ゾフィー・ショル最期の日々
2005年 独 時間:121分 配給:キネティック
監督:マルク・ローテムント 出演:ユリア・イェンチ/アレクダンサー・ヘルト/ファビアン・ヒンヌリフス/他
シネリーブル神戸にて鑑賞
90年代に発見されたゲシュタポの尋問記録を基に映画化。戦後60年と言っても、未だにその戦争が何だったのかを克明に知るには、まだまだ時間がかかるのかもしれないと思った。4日間の尋問と裁判が映画のメイン。ゾフィーは兄と一緒に大学の構内にビラを撒いたことを用務員(だったかな)に見つかってしまい、通報させられる。彼らはレジスタンス活動をする「白バラ」のメンバーだったのだ。レジスタンス活動とはいえ、その行動はスキだらけだと思っていたのだが、彼らの言動から察するに、社会主義や共産主義からくる運動ではなく、純粋な平和活動の一貫として行っていたっぽい。ここが、重要なポイントですね。
ゾフィーは恐怖と闘いながらも、尋問にも毅然とした態度で臨む。その攻防が胸を打つ。もし、彼女が社会的思想に基いて行動しているならば、それを転がす術があったのかもしれない。それが、純粋過ぎる信念からくるものだからこそ、取調官もひるむ時があったのではないか。或いは共産主義から転んだ裁判官のおよそ理性をなくした尋問もそこから来るのかもしれない。
ゾフィーも、他のドイツ国民も連合国による開放を待ち望んでいたからこそ、この4日間の攻防に耐えてこられたのに、即日処刑だと知らされた後の咆哮は胸が締め付けられた。ショル兄弟と一緒に裁判にかけられたクリストフは助命を嘆願していたのに、処刑前は憑き物が落ちたようになっていたけれど、その心の動きも知りたかった、というか気になった。彼については、言及する書籍も少ないようだ。彼の場合は妻子がいるだけに、その胸中を察するに余りある。
あと、映画の中ではちょっことしか出てこないショル兄妹の両親だけど、あの少ない場面で彼らの育った背景や絆が知ることができて、涙腺が決壊してしまったよ。でも、情だけで訴えないところが秀逸だと思いました。
ゾフィー達が受けた尋問ですが、至って人道的な扱いを受けたのが意外だった。裁判は形式的なもので、処罰は決まっているからなのだろうか?
「白バラ」について勉強してから観たほうがいいかも。
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