なんてつメモ

どうってことない日々のあれこれ

読んだ

コロナの感染防止対策で図書館が休館なのが辛い…web予約が出来ないのも悲しい。美術館も休館だし。

とはいえ、島根県は県立美術館や足立美術館は開館しているので、いっそのことスカイマークで島根まで行って、経済に貢献したい気持ち。いかんせん、手元不如意。残念。

こういう施設が避難場所になっている人たちもからずいるはずだけど、学校がそうである人たちも、どうやって毎日を過ごしているんだろう。

*【BOOK】桜木紫乃 緋の河 新潮社

緋の河

カルーセル麻紀をモデルにした小説。

Wikipediaによると、名付け親が新野新らしい。

こんなところで名前が出るなんて…お元気なのかしら。

きれいな男の子として生まれてきた秀男が、自分らしく生きていくために札幌・東京・大阪へと渡り歩いていきながら、自分のポジションを確立していく様子は、開拓者そのもの。見えない道を切り開いていく孤独と恐怖はいかばかりなものなのか、わからない。

自分は美しくありたいと心底願う秀男には躊躇はない。そこがとても気持ち良い。彼を支える先輩の言葉やら、生き方が心に響く。人と違う考えや外観を否定せずに、理解できる。そこに、妬みや僻みが存在しない。かっこよすぎるー。むしろ、血縁関係がないからこそ、りかいできるのか。そんな彼にも、家族の存在は重たい。彼を励まし、理解できる姉や母、遠ざける父や兄妹。母の髪を染めるために、一緒に風呂に入るときに、彼の母に対する謝罪のような告白。この場面が一番好き。ただただ耐え忍ぶだけのようだった母親の強さと寛容さが、これが秀男の強さの源泉なのかもと思った。

彼をとりまく周囲の人たちの描き方も秀逸。彼がどんな世界に身を置いているか、それゆえに彼の強さと美しさが際立つ。

今のニューハーフ系タレントの先駆けとなる人の生き方に圧倒された。そして、その世界の裏事情も垣間見れて面白かった。