なんてつメモ

どうってことない日々のあれこれ

鈴木信平 男であれず、女になれない 小学館

男であれず、女になれない

男であれず、女になれない

これは、私の想像を絶する世界の話だとも思うし、誰しもが一度は経験したことがあるのかもしれない世界の話かもしれない。
ただ、理解できるのは、同性だからといってその括りだけで理解しあえるかって言ったらそういうわけでもなく、当たり前だけど、いろんな考え方や信条もあるから、お互いを暗黙の了解で通じる関係性を築くことはなかなか難しい。それでも、セクシャルマイノリティーの中で、同じ悩みを分かち合いたいと願って、そこはそこでいろんなカテゴリーがあるわけなんだなぁ、と自分の想像力の欠如を改めて実感する。
必死に自分が自分であるべきことを模索している筆者の姿が、とても真摯であり、痛々しくもあり(実際痛そうというか危険も冒しているし)、それでも歩みを止めずに進んでいくところに、掛ける言葉が見つからない。
自分の性について悩むということがなく、考えることもなく、あるまま受け入れてきてきたので、この著者の悩みには本当に理解はできないんだけども、そこから生きることを考えるのって、超えないとならないハードルが多過ぎることがわかる。精神的にも肉体的にも。
生きていくのって、どうしたって大変だ。
本当に難しい。