なんてつメモ

どうってことない日々のあれこれ

絲山秋子 イッツ・オンリー・トーク 文藝春秋 

イッツ・オンリー・トーク

イッツ・オンリー・トーク

伊坂幸太郎は、これからも一定のレベル以上のものを読ませてくれるのだろうなぁという勝手に確信している。読者を選ばない間口の広さが魅力なのかも。でも、私は「チルドレン」を含めて2作しか読んでいないので、余り根拠はないけど。
「短編集と見せかけて実は長編小説」と帯にあったけれど、個々の短編小説として読ませておいて、読後にあぁ、その通りだわーと納得。短編の中では脇役に過ぎない陣内がくっきりと存在感を残している。そして、陣内を軸として人と人が繋がっていき、それが外の世界にも広がっていく。その小説の前向きの明るさが気持ち良い。

絲山秋子は好対照かなぁ。鬱を抱えて生きている人達の繋がりは、外に広がるどころか、むしろ内に向かっていく感じ。雑多な猥雑さを抱えた町の中に紛れて生きていく姿は、「何とか生きていっているよ」言葉そのもの。「第七障害」は、馬に乗っていたことがある人なら共感できる部分が多々あるんじゃないですかね。絲山秋子の方が読んでいてシンパシーを感じる部分が多いかな。


でも、どちらにしても生きていくことに変わりないわけだ。