なんてつメモ

どうってことない日々のあれこれ

ゼナ・ヘンダースン ページをめくれば 河出書房新社

ページをめくれば (奇想コレクション)

ページをめくれば (奇想コレクション)

バラエティに富んだ短編集。SFはほとんど読まないから、とちょっと身構えてしまったけど、すんなりと入っていけた。著者は教師の経験があるそうだが、ほんわかした微笑ましい結末のファンタジーよりも、悲しい結末や子供の残酷さと身勝手さを描いた短編のほうがその経験や視点が生きているように思える。私が一番印象に残ったのは表題作の「ページをめくれば」。ページをめくれば、幸福な結末があると信じて、めくり続けるか、あきらめてしまって本を閉じてしまうか。どちらも現実に向き合っているかと言えば、そうでもないような気もする。ページをめくり続けた挙句の結末が本当に幸福かどうかはわからない気もする。それでも信じていくのか。それが真実と向き合うということなのかなぁ。とてもほろ苦い。