なんてつメモ

どうってことない日々のあれこれ

ゆきゆきて、神軍

1987年 日本 時間:122分
監督:原一男 出演:奥崎謙三

KAVCにて鑑賞

ゆきゆきて、神軍 [DVD]

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鳥肌実って奥崎の真似っ子しているみたいだわーなんて、暢気なことを思いながら観ていたけど、最初のうちだけ。彼が所属していた部隊が終戦後にあった事件の真相を探るべく、彼は夜討ち朝駆けでノーアポで元上官たちを訪ね歩くのだ。山深いところで、仰々しい言葉が大書された車で来られた日には、迷惑なことだよなぁ。しかも、カメラを引き連れていくんだよ。日常生活の中にありえない人とモノが押し寄せるってどうなんだろう。私だったら、真実を知っていても、絶対言えないと思ってしまうよ。カメラがあることで、彼の言動が段々と激しくなっていくのがわかる。アナーキストと同行する場面があるんだけど、そのアナーキストですらどん引きしているのがわかるほどだ。糾弾とか恫喝とかそんな言葉がふさわしい感じ。

途中で、彼は同じ部隊に所属していながら、彼自身がどうしてその真相を知らなかったのだろうと疑問を持つ。それは彼が投降して捕虜になって、終戦を迎えたからなのだ。戦線離脱した人間が、戦場で生死を彷徨っていた部隊で起きた事件のことを、そんな居丈高な態度で責め立ててもいいものなのだろうか。彼よりも想像できない地獄を見てきただろう人たちを責める立場にあるのか。真相を告白させられた人は、いきり立つ彼の前に顔色を変えずに淡々と話す。その言葉の重さと言ったらない。結局、彼は自分の後ろめたさを他の人たちの罪に転嫁したかっただけじゃないのかとすら思えてきた。だから、途中まで同行した事件の被害者とされる人たちの家族はその旅を離れたんじゃないのか。

脳の容量が少ないので、考えがまとまらず、ずっとぐるぐるしてますよ。ただ電波ゆんゆんな人ってだけではないかも。これもPTSDなのかなぁー。強烈なのは確か。