なんてつメモ

どうってことない日々のあれこれ

島本理生 ナラタージュ

ナラタージュ

ナラタージュ

以前、芥川賞候補にあがったときに都知事が「かわいい小説」と評していたけど、それってドンピシャな表現だと読み終えて思った。多分20年ぐらい前に読んでいたら、はまっていたかも。著者が今書ける時期に書くべきものを書いたって感じがする。ところどころに心に沁みる文章が唐突に出てくるので、そこが性質が悪いというのか、だから最後まで読ませてしまうのかも。その辺も若いなと思う理由の1つだったりする。どうなんだろうなぁ、10年後には構成も人物描写もしっかりとしたのを書いてくれたらいいなぁーなんておばちゃんぽく思ったりする。本の装丁や紙の厚さの調整具合を見るに、本をさほど読まない10、20代がターゲットなんだろうな。

正直、登場人物が青臭いっつーか、自意識過剰で、自己陶酔タイプなのですよ。ヒロインにしても、葉山先生もー!つか、葉山って最低な男だぞ。私としては小野君のまっすぐさ、ちょっと脆い部分のある年相応の傲慢さは愛すべきところだと思う。そこらへんで、揺れるヒロインの気持ちもわからくもないんだけども、真摯な思いとか愛よりも、どうも自己肯定のための理由付ぽい感じがして、そこらへんに激しく違和感があって、なじめませんでしたよ。残念。

あと、唐突に後輩ちゃんを死なせちゃだめだわ。簡単に死を扱うのは良くないっすよ。韓流ドラマみたいだなあ。