なんてつメモ

どうってことない日々のあれこれ

神様からひと言

神様からひと言

神様からひと言

神様からひと言 (光文社文庫)

神様からひと言 (光文社文庫)

読んで身につまされ、共感できる人がたくさんいるんじゃないかー。
転職したものの、会社の副社長新しい風を入れたいと言いながら、はただの新しいモノ好きで、独断専行型だったり。考えナシで人を入れて、結局お客様処理係に追いやられた主人公の姿に、もうわかるよ、わかるよー、と頷きながら読んでいく。毎日寄せられるクレーム(ほぼイチャモン)に最初は切れつつも、そのうちソツなくこなしていく。クレームってさ、ホントにいい加減な応対してしまうと、大火事になってしまうのよね。読んでいて、胃が痛くなったあの日を思い出してしまうよ。その点、グータラ社員だと思っていた篠崎の完璧な処理対応能力は感動モノ。こんなところにくすぶっていていいのかって感じ。なぜ、ここにいるのかは読めばよーくわかるけど。ここの仕事の描写も面白いけれど、ここから始まった疑問点から会社の不正を暴こうとする行動はもっと面白かった。でも、結構ゆるい事実だったけど、だから救いがあるのかも。まずいカップラーメンを作っている会社も案外これだったりして(笑)

これを明るい筆致で書かれているから良いけど、それでも、死人が出るのは余り好きじゃない。何も死なすことはないじゃない、一緒に戦ってほしかったなぁ、なんて。お客様相談室のメンバーをもっと絞って書いても良かったかも。それでも、最後は胸のすく終わりかたです。表題が効いているなって感じです。

著者は、話題になっている現在のテーマをその時に作品に出来る力がある、それもあまり深刻にならない程度に上手く作れる器用な人なのねってのが、「明日の記憶」とこの作品を読んでの感想です。