なんてつメモ

どうってことない日々のあれこれ

[BOOK]誉田哲也 武士道エイティーン 文藝春秋

武士道エイティーン

武士道エイティーン

武士道シリーズ3段目。多分これで完結かな。今までの剣道への情熱だけではなく、これから先を見据えた上での思いを早苗と香織がそれぞれの立場で悩み、決断していく様子はまっすぐで眩しい。そして、彼女たちを取り巻く人たちのサイドストーリーも絡めて、人との繋がりで成長していく人たちを前向きに描かれているのが清々しくていいなぁと思う。自分一本槍だった香織が周りに目が行くようになった成長振りって一番の読みどころかも。なんか大きい人になりそうな予感。

[BOOK]伊藤比呂美 女の絶望 光文社

女の絶望

女の絶望

人生相談の問答集ぽい。もう性的にも他のことにもオープンというのか、あけすけに言ってのけるよ。身も蓋もないってぐらい。そこからむき出しにしてないと、本当の悩みも、それに対しての真摯な答えができないってばかりに。その乱暴さに驚いたけれど、そこから本当にこの人の悩みを受け取る度量も優しさも感じ取られるのが、不思議だ。


[BOOK]津村記久子 婚礼、葬礼、その他 文藝春秋

婚礼、葬礼、その他

婚礼、葬礼、その他

「婚礼、葬礼、その他」で1篇の小説のタイトル。披露宴に招かれたヨシノが職場の上司の親族の通夜に呼び出されてって展開。空腹を抱えたヨシノがそれをなかなか満たされずに、全ての出来事に上の空のままに当事者ではない者の身の置き所のなさが伝わってきて、ヨシノの「空腹」だけが彼女の最大事の関心事なのに、それが満たされなさが何だかおかしみを誘う。なんだろ、それが生きるってことのような。このひとの作品を初めて読んだが、何か観察眼が鋭いんだけど面白みがあるっていうか、とりあえず巧いよ!って言いたい。つか、他の作品で芥川賞を後で受けるんだけどねー。

同時収録の「冷たい十字路」も、朝に起きた高校生同士の自転車の衝突事故を通して、その事故を色んな人たちの視点で語らせるものなんだが、毎朝すれ違うだけの人に、実際どんな思いを抱えているかなんて思いもしないことだけど、それを事故を通して浮かびあがらせていく。そして、少なからず繋がりもある。その思いはバラバラのようで、誰しも共感できるようなこと。でも、それを彼らが分かち合うことはない。その描き方が見事だと思う。表題作よりも好きだ。


[BOOK]笑い飯哲夫 えてこでもわかる笑い飯哲夫訳 般若心経 ワニブックス

えてこでもわかる 笑い飯哲夫訳 般若心経 (ヨシモトブックス)

えてこでもわかる 笑い飯哲夫訳 般若心経 (ヨシモトブックス)

わかりやすい解説本だと思うが、無理からのお笑い投入でかえって読みにくさを感じる。最初の本で、いきなり関西弁の口語体に挑戦するなんて、狙いすぎて失敗とはいかないけど、中途半端さを残してしまったような気がする。