荻原浩 四度目の氷河期 新潮社
- 作者: 荻原浩
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2006/09/28
- メディア: 単行本
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直木賞候補作にもなったけれど、この作品で選ばれなかったのは返って良かったのかもしれない。
ワタルは自分の父親がどういう人なのかを知らずに(教えてもらわずに)いるうちに、「クロマニョン人」が自分の父親だと思い込む。それから、クロマニョン人の息子として、槍投げとか石斧作りに勤しむようになる。ま、何だそりゃって、噴出したくなるところだけど、そうやって、自分が何故だか他の子供たちと外見が違うことや、どうしても人と同じように出来ないことの理由づけに、そんなことを考え付いてしまうことの孤独感が伝わってきて、切ないなーとは思うのだ。こういうの描くのが上手いんだよねぇー。
でも、ワタルが高校生になって以降の展開は、かなり安直かも。うーん、ラストの展開には唖然としてしまった。ひねりすぎ?狙いすぎ?でも、ワタルの人間性はいささかもぶれていないんだよなぁ。そこが惜しいのか。なんだかバランスが悪くてもったいないなぁ。あー、でも、サチが傍にいてくれるなら、氷河期も乗り越えられるのか。それが救いかなぁ。