なんてつメモ

どうってことない日々のあれこれ

荻原浩 四度目の氷河期 新潮社

四度目の氷河期

四度目の氷河期

直木賞候補作にもなったけれど、この作品で選ばれなかったのは返って良かったのかもしれない。

ワタルは自分の父親がどういう人なのかを知らずに(教えてもらわずに)いるうちに、「クロマニョン人」が自分の父親だと思い込む。それから、クロマニョン人の息子として、槍投げとか石斧作りに勤しむようになる。ま、何だそりゃって、噴出したくなるところだけど、そうやって、自分が何故だか他の子供たちと外見が違うことや、どうしても人と同じように出来ないことの理由づけに、そんなことを考え付いてしまうことの孤独感が伝わってきて、切ないなーとは思うのだ。こういうの描くのが上手いんだよねぇー。
でも、ワタルが高校生になって以降の展開は、かなり安直かも。うーん、ラストの展開には唖然としてしまった。ひねりすぎ?狙いすぎ?でも、ワタルの人間性はいささかもぶれていないんだよなぁ。そこが惜しいのか。なんだかバランスが悪くてもったいないなぁ。あー、でも、サチが傍にいてくれるなら、氷河期も乗り越えられるのか。それが救いかなぁ。