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どうってことない日々のあれこれ

 ピエロの赤い鼻

2003年 フランス 配給:ワイズポリシー 時間:95分
監督:ジャン・ベッケル 原作:ミシェル・カン
出演:ジャック・ヴィユレ、アンドレ・デュソリエ、ティエリー・レルミット

ピエロの赤い鼻

ピエロの赤い鼻

観終わった後にじわじわと余韻が増してくる作品かな。エンディングロールと流れるピアノ曲に色んな場面が思い出されて、ぐずぐずと鼻を啜ってしまった。

予告編を観た人はわかるけれど、ほとんどあれが全てなんだけど、あれには出てこなかった老夫婦が私には一番のツボだった。あそこまでの勇敢さを持ち合わせる一般市民がいるのかっていう…彼が最期に言う「これで良かったんだ」って言葉の重さ。彼だって処刑されるのが恐いわけだよ。うーん。人質として穴に尾とされた四人のフランス人を励ましたドイツ兵ゾゾの勇気もそれは大変なことだけれど、彼の死だけでは、主人公のジャックは、ゾゾの意思を受け継ぐまではいかなかったと思う。なんていうか「生かれている」ことと「赦される」ことを実感したことが重なったんじゃないかなぁと。後はどこかに葬られたはずだけど、悼もうにも墓を見つけられない現実。

戦争にうんざりしている将校や兵士達、やたらと殺戮を繰り返そうとする無能な上官とかの描写も短い時間いきちんと描かれているので、尚更、この悲しい過去とジャックの決意は涙を誘うのかもしれない。ただ、四人の命を救うために二人の命が奪われてしまうわけよ。なんか遣る瀬無いよなぁ。でも、戦争とは一部の権力者の為に何万もの人が犠牲を強いられるわけだよなぁ。ちょっと複雑な思いにとらわれる。こうやって、のほほんと映画を観ていられるのも、私達の知らないところで、誰かが犠牲になっていることで成り立っている平和なのかもとか考える。

それから、このタイトルもなかなか良いと思う。あの赤い鼻が転がり落ちる場面は印象的だったもの。

ジャックの息子は出てこなくても良かった。お前簡単過ぎるんだよって。つーか、もっと早くに、ママンが教えてやっても良さそうなもんだがと余計なことを思ってしまうじゃないかー。