なんてつメモ

どうってことない日々のあれこれ

やさしい嘘

2002年 フランス・ベルギー 配給:東芝エンタテインメント 時間:102分
監督:ジュリー・ベルトゥチェリ 出演:エステール・ゴランタン,ニノ・ホマスリゼ,デイナーラ・ドルカーロワ
公式サイト:http://www.yasashii-uso.com/


旧ソ連領のグルジア共和国で暮らす三世代の家族。フランスに出稼ぎに行っている息子からの手紙をいつも心待ちにしている祖母。そして、自分は愛情が注がれていないと思い込んでいる母。そして二人の橋渡しをしているような孫娘。
郵便はなかなか届かないようだし、水や電気も急に止まってしまう事もしばしば。町の空気も殺伐としているし、孫娘はアルバイトでフランス語の通訳をしているけれど、大した賃金も受け取れない。そして、男友達は隣国のトルコに出稼ぎに行く話しをしている。ホントに閉塞感に息が詰まりそうな中で彼女達は生活している。
グルシアという国の存在をこの映画で始めて知った。今も政情不安定な国らしい。だから、それもあって、彼女達の関係もぎくしゃくしたものになっている。それでも、お互いを思い遣る気持ちは忘れていないことに救われる。彼女達が嘘をつくときの気持ちはそれでも後ろめたい。そこまでも、祖母は受けとめて、さらに大きな愛情で持って「やさしい嘘」をつくのだ。あの嘘の中には、彼女の息子に対するこうであってほしかったって願望も含まれていて切なかった。孫娘の旅立ちを優しく見つめる姿に脱帽。

ソ連はフランスに対して憧れが強くて、昔はフランス語を教養として身につけるってことがあったらしく、彼女達の家にはフランス語の蔵書が山のようにある。(昔は中流階級だったのかなぁ?)そして、それらは今でもお金に変えられるほどの価値があるらしい。フランス語とグルシア語とロシア語が映画の中では飛び交っていてらしいのだけど、その違いもわからず、フランスに住んでいる息子はどうしてフランス語で手紙を送るのだろうとか、そういう国の文化的な背景が理解できてないので、それがわかれば、もっと違ったふうにこの作品が楽しめたのかも。

シネカノン神戸にて鑑賞