なんてつメモ

どうってことない日々のあれこれ

ぐるりのこと。

2008年 日本 時間:140分 配給:ビターズエンド
監督:橋口亮輔 出演:木村多江/リリー・フランキー/倍賞美津子/寺島進ほか

シネリーブル神戸にて

この作品を観ながら、血の繋がった家族でも分かり合えることと分かり合えないことがあって、言ってしまえばアカの他人同士である夫婦でも同じことがあるのだと、それをどうにかして、夫婦があって家族になっていくんだろうか、とずっと考えていた。そんな気持ちの行き違いをどうやって寄り合っていけるかどうか、それでも一緒にいても、分かり合えないものがあることも感じた。誰でも、そんなものかもしれないんだったらいいのに。

木村多江とリリー・フランキーが夫婦役ってのが目を引きました。リリーはそのまんまのキャラの設定でアテガキなのかなぁ。木村多江が演じる女性は神経質で几帳面な女性で、何でこんな組み合わせが成立できるのが理解できないんだが、それが段々とわかってくるんですよね。流産がきっかけで鬱病になってしまう。生活力がなさげな夫が仕事を探してきて、彼女のそばにそっと寄り添う。彼女が夫に詰め寄っても、激昂することなく、一緒に寄り添って、一緒に困り果てる。法廷画家で、様々な人間模様を眺めつつ、静かに彼女の傍にいる様子がとても印象的だった。この夫って映画の登場人物では一番頼りなげなのに、一番安心できるのが不思議。なんだか、リリーと重なるところがあるのかなぁ。彼の書いた「東京タワー」でもボクが泣いて困ってそばにいるような人だったからかもしれない。
彼女が鬱病が治りかけていく過程の中だったと思うんだけど、ある判断をします。多分、彼女はこの決断を死ぬまで彼には言わないと思う。この決断は、私にはとても理解しがたい。これがなくても、映画は成立するはずだけど、やっぱりこの監督はゲイだからなのねーと思うことにしましたw。

最後に天井絵を見上げながら、二人がそっと手をつなぐ場面がとても好きだ。人と関わることはとても難しい、密接な関係になるほど難しい。その答えをこれからも探しながら、彼らは夫婦になっていくんだろうなぁと希望を持ってみることができた。