なんてつメモ

どうってことない日々のあれこれ

麦の穂をゆらす風

2006年 愛蘭・英・独・伊・西 時間:126分 配給:シネカノン
監督:ケン・ローチ 出演:キリアン・マーフィ/ポードリック・ディレーニー/リーアム・カニンガム

シネカノン神戸で鑑賞
1920年アイルランド独立戦争が舞台。
もう、戦争の悲惨さだとか虚しさだとかそんなのは誰でもわかっていること。これは、身内や仲間だとかを処罰しなければならないことまでして得たかったものは何なのだろうと考えなくてはいけない。そこを一歩ぐんと踏み込んだ作品のように思える。
戦争や内紛が起こる要因は実は単純じゃないのだということを、教えてもくれる。宗教上の問題とか、例えば抑圧されているはずアイルランド人の地主階級はどうなんだとか、国内での格差問題とか。
内戦に参加したのは、何も主義主張や信条を持っているわけでもなく、なんとなく流れの中で従わざるをえなかった人たちも多かったこととか。昨日まで親しくしていた人たちがある日を境に「もう顔を見せないで」と言わせるような内紛状態。でも、彼らが望んでいるはずのは自国の独立であることは誰もが一致することなのに、様々な思惑が重なっていって、いろんな悲劇があちこちで起きていく。「ここまでして得るものは何だろう」(うろ覚え)とデミアンがつぶやく場面が印象に残った。ずっと、この呟きが全編を通して伝わってくる。
北アイルランド問題がまだ解決していないことも忘れてはいけない。この映画を観てから、アイルランドから外国へ移民していった人達がどうして多かったのかもわかった。後、裁判官が女性ばかりだったのはどうしてだったのか、とかも調べてみて初めてわかった。外国のこととはいえ、無知だよなぁ。何の知識もなくても差し支えないけれど、知っていると随分状況が理解しやすくなると思う。

観た後、しばらく考え込んでしまった。ボールを投げつれた感じ?後は自分達で考えろって言われている気がする。