なんてつメモ

どうってことない日々のあれこれ

佐藤多佳子 しゃべれどもしゃべれども 新潮文庫

しゃべれどもしゃべれども (新潮文庫)

しゃべれどもしゃべれども (新潮文庫)

ほんわかした気持ちになれる小説。
登場人物は、みんな何かしらの事情があって、二つ目の噺家の「話し方教室」に集まっている。それぞれに秀でたものがあるのに、上手くいかない人たち。ぎこちないながらも、必死に次の一歩を踏み出したいと願っている。それは噺家とて同じで、何とか一皮むけたいと模索中。そんな彼らなんだけど、自分のことで手一杯そうでいて、ヒトのことがほっとけないところがいじらしいというかなんと言うか。その表現すらもぎこちないわけなんだけど。彼らを見守る家族もなかなか曲者揃いで楽しかった。最後に一同会するところが一番好きなだなぁ。軽妙だけど浮ついてない文体がお見事だわ。もっと早く読んでおけばよかった。