なんてつメモ

どうってことない日々のあれこれ

三木卓 柴笛と地図 集英社文庫

柴笛と地図 (集英社文庫)

柴笛と地図 (集英社文庫)

「裸足と貝殻」の続編。
戦後の新制高校生になった豊三。彼の内なる自分への問い掛けが硬軟混ざり合って、何だか微笑ましい。けれど、この頃の高校生って、精神的に随分大人だというか、現実を見極めて生きているんだなという感じ。
彼は謎の先輩から社会科学研究部への入部を勧められるんだけど、最後まで謎のままだ。これはまだ続きそうだけど、そこに出てくるのかしら?そこに入部してから、共産主義を勉強し始めるだけど、活動を通して抱く、素朴な疑問を抱き、やがて退部するまでの過程は、興味深く、彼は好奇心旺盛なので、いろんな人や物に興味を抱いて、首を突っ込んでいるような人だから、バランス感覚に優れていたんではないかなぁとか思った。なんというか、抜きん出て何かに突出した才能を発揮するわけじゃないけれど、良い意味での中庸さを持っているからこその疑問を持ったりしているんじゃないかなぁ。兄の存在も大きかったと思うが。
この後にもっと大きな学生運動の波が起きるわけだよなぁ。これ、続きが読んでみたいなぁ。意外とこの年代の学生がどんな生活を送っていたかって、知ることがないので、面白いんだよね。