ブロークバック・マウンテン
2005年 アメリカ 時間:134分
監督:アン・リー 出演:ヒース・レジャー/ジェイク・ギレンホール/ミシェル・ウィリアムズ他
原作
- 作者: E・アニー・プルー,米塚真治
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2006/02/17
- メディア: 文庫
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シネリーブル神戸にて鑑賞
保守的な時代で保守的な土地柄で育った男性同士の恋愛話って一言で言えばそうなるんだろうだけど、彼らを取り巻く人たちの感情の揺らぎが丁寧に描かれていて,力強い作品だと感じた。
さて、2人の恋人たちですが、ジャックの一途さに打たれた。あのイニスが忘れてきたシャツがあんなところに置いてあったなんて!とはいえ、生理的にはそれなりにストレートに解消していたんだなぁ。いろんな意味でも一直線なのかもしれない。ブロークバック・マウンテンでイニスと知り合ったときに「父親は自分を認めてくれない」とこぼしていたけど、両親はもしかしてジャックの性向を知っていたんだろうなぁ。ホントに率直な人だったのかも、でも、現実と折り合うだけの柔軟性もあったんだろう。
対するイニスだけど、もぅ最初に誘い受確定ね、と睨んだのだけど、それはあっけなく覆されてしまった。にしても、めんどくさい、というのか、わかりにくい男だよなぁ。その性格は、保守的な土地柄で起こったある出来事がトラウマになっているのもあるのだろうけど、はみ出さずに生きていかなばと思いは確かにわかるが、それ以外に無知で教養がない、でもプライドが高いっていう実にややこしい構造で出来ているせいなのかなぁ。空の高さも知らない、大海も知らない、ワイオミングの蛙って感じ。意外と飛んでみたら、簡単に井戸を飛び越えられるのかもしれなかったのに、飛んでみようともしなかった。
そして、自分から事を起こすこともできないのに、要求ばかり起こす。ジャックの思いも汲み取ってやれていないのは言わずもがなだけど、アルマに対してもそう。相手の感情の揺らぎを何ひとつ気づけないなんて、人間として最低じゃないかなぁー。そういう思いやりを持つことのなかった子供時代を過ごしたのかも。
老いぼれたら、バーの片隅で飲んだくれて「誰もオレを幸せにしてくれなかった」とかぼやいてそうな気がするな。
だからこそ、そんな唐変木を愛してしまったジャックの苦しみが引き立つんだよねー。そんなところは、同性愛であろうが、なかろうが関係ないわけで、共感を呼ぶのだろう。実のところ、イニスみたいな人間の方が実は多いと思うんだよね。身につまされる人は多いと思うなー。何でも欲しがって、何一つ手に入れられてないと思う人はきっとイニスの要素を持っているんじゃないかと。
原作をじっくりと読んでみたいです。