なんてつメモ

どうってことない日々のあれこれ

 キープ・クール 1997年 中国 配給:角川書店・メディアボックス 95分

監督:張芸謀 出演:姜文 李保田 他

原作:述平「晩報新聞」より(日本語訳は出てないようです)

[公式サイト]:http://www.walkerplus.com/keep-cool/index.html

あんたが落ち着け、張芸謀!って言いたくなるほど、この前後の作風とガラッと違ってるよ。手ブレの多い撮影なんで、見ていて気分が悪くなるほど。現代の北京を描いているのも珍しいような。知っている風景が出てくるので、嬉しくなるけど。建国門から北京駅を経て天安門広場まで自転車で追い掛けるシーンがあるけど、結構距離があるはずだが、北京っ子には日常の移動距離なんかなぁ?

本屋の露天商シャオは前の彼女が忘れられず、ストーカーのように追い回している。ある日、シャオは彼女の今の恋人劉にボコボコにされてしまう。偶々、通りかかったチャンが巻き添えにあって新品のパソコンをシャオに壊されてしまう。チャンは劉とシャオにパソコンの弁償を交渉していくのだが…。

原題が「有話好好説」といって、「話し合いはきちんとしましょう」って意味らしい。なので、ほとんどが話し合いのシーン。シャオがパソコンの弁償を求められて、自分の正当性を、屁理屈をこねて延々と主張するのに笑ってしまう。実際、こんな人が多そうだもんね。シャオは劉に恨みを募らせて、それで頭がいっぱいで何も考えられなくなってくる。チャンもパソコンは高級品かもしれないけどさ、どう見たって尋常じゃないシャオとは関わらないほうが良いと思うんだけどね。そこいらへんも何か中国人の国民性なのかなぁと思ってしまった(間違っていたらごめんなさい)。これが後からチャンの悲劇につながるわけだ。でも、どう考えてもシャオの未練がましさがトラブルの発端なんだけどねー。シャオのこの危なっかしい気性と手ブレの映像とがあいまって、どうなってしまうんだろうってきて、結末に突入だけど、妙な感じ。

結末辺りでシャオのために劉への復讐を阻止しようとして、シャオに病気扱いされた挙句、とばっちりを受けて災難に遭ってしまったチャンの逆上っぷりが恐ろしいほどだったのに、あの結末だと拍子抜け。最初は違う結末だったらしいんだけど審査を通すために変更したらしい。チャンを演じた李保田は「菊豆」の気弱な男を演じた人と同じだとわからなかったよ。
張芸謀が廃品回収業の男でちょこっと顔を出している。ええ感じだったので、もうちょっと見たかった(笑)もう、役者としては出ないのかなぁ?彼女役のチュイ・インは、北京の現代女性としては合っているけど、ポスト コン・リーって感じじゃないし、これから彼の作品にお呼びがかかることはないような気がする。