読んだ
*【BOOK】原田ひ香 母親からの小包はなぜこんなにダサいのか 中央公論新社
どうしたって生活力のなさそうなカップルって、こういう思考回路なのかもって妙に納得してしまった。堕ちっぷりが凄い。負の無限ループというかメビウスの輪っぽい感じ。どっちが表でも結果は同じと感じさせる二人の磁場の強さが好きといっても、中には入りたくない。舞台で観たいかも。
森鴎外の末息子類の人生を描いているわけですが、何とも面白いという言い方は語弊があるのかもしれないけれど、生きていくのが大変だったろうなぁと外野からは思うわけだけど、当人にとっては、気が付いてみれば、こうなっていた、と言うところなんだろうなぁ。初めて勤めた会社を退職した際に同僚に「働いてはいけない人」という言い方をされていたのが印象的。高等遊民でいられたら、毎日ご機嫌で楽しく生きて行けたのに…そして、茉莉さんの弟君だけのことはあるわ。類は、自分の家族のことを書いて、それを姉たちの不興を買い、疎遠になったりする。何を書いたか?私は茉莉の美意識の高さにびっくりした。
森鴎外といえども、死去後残された家族の生活は厳しかった。庇護のもとでぬくぬくとしていられた甘い時間が過ぎ去った後の寄る辺なさが何とも。何としかしないと思う反面、何とかする知恵も生活力もない。永遠の子供みたいな類なのである。
何と言うのか、美しいものだけを愛でることだけで生きていけない時代に生まれたのは、ただただ不幸だと思うばかり。そんな時代があったとするなら、限られた階級の人たちなんだろうけど。森鴎外の家族の関係性もなかなか興味深かった。