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どうってことない日々のあれこれ

Into the Woods

作詞・作曲:スティーブン・ソンドハイム 台本:ジェイムズ・ラパイン 演出:宮本亜門
出演:小堺一機高畑淳子シルビア・グラブ

Into the Woods

Into the Woods

兵庫県立芸術文化センター大ホール
1階P列12番にて鑑賞
上演時間3時間10分(休憩時間20分含む)

劇場に入るなり、舞台に感激。森そのものだわ。グリム兄弟の童話から飛び出してきた、シンデレラ、赤頭巾ちゃん、パン屋の夫婦、ラプンツェル、ジャックが森の中で右往左往しながら、それぞれの望みを果たす第1幕。パン屋の夫婦の善良さがとても出ていて、それでも、願いを叶えるために奮闘している。ただ、ソンドハイムのメロディは、何か不安を掻き立てるものがある。登場人物のそれぞれの心の中も複雑だ。それでも願いは叶えられた!めでたし、めでたし。でも、本当に?ってな終わり方。なんか赤頭巾ちゃんはどすのきいた声の割りに所作がやけに可愛すぎて違和感がある。
第2幕は望みが叶えられるとその次の望みが出てくる登場人物たち。そこへジャックが倒した巨人の妻が夫の仇討ちにやってくる。説明役の男がいなくなってから、舞台は混沌としてくる。絶え間ない人間の欲望や感情が溢れてくるのに、ちょっとテンポが悪くなってきて、眠気に誘われてしまった。シンデレラを射止めた王子は今度は眠れぬ森の美女を射止めようとするが、かなりヘタレっぽくて失笑。この芝居に出てくる男性たち特に王子様は何だか弱っちくて駄目な人間になっていて面白かった。最後にあんなに恐れていた森に今度は嬉々として入っていくエンディングには感動した。森は結局誰もが自分の認めたくなかった弱さや狡さの象徴だったのかなぁと思った。でも、それを認めてしまえば「独りじゃない」んだから恐れることはないってことなのか、と解釈してみる。
場内は小さな子供づれのお客さんが多かったけど、グリム童話の登場人物はたくさん出てきたけど、子供にわかるものなんだろうか?
前にストレートプレイでの高畑淳子はうんざりしちゃったけど、このパン屋のおかみさんはどんぴしゃキャラにもはまっていたかも。2幕の芝居はとても切なかったなぁ。ジャックは何か違う感じがした。
人の心の複雑さを出しているミュージカルって珍しいような気がする。それを見事に自分のものにした小堺一機のパン屋がとてもよかった。あと、シルビア・グラブもいいねえー。
でも、初演を観た人たちがうらやましかったりする。