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桜庭一樹  赤朽葉家の伝説 東京創元社

赤朽葉家の伝説

赤朽葉家の伝説

あまりのボリュームにさぞ深くて濃い物語が待っているのかと思ったら、意外とあっさりしていたな。
鳥取の旧家、女三代記。
一番読み応えのあるのが、祖母、万葉です。思わせぶりな生い立ちと千里眼という能力。そこから自分の子供に襲う悲劇を見てしまう哀しさ。恐ろしく業を背負った女性だ。
母、毛毬はめっちゃ昭和50年代のヤンキーチック。ここから小説の景色が一気に変わる。なんか、大映ドラマのノベライズを読んでいる錯覚を起こしそう。
そして、現代を生きる瞳子。めっちゃ軽い。
世代が変わるのと、昭和の世相が変わっていくのがリンクされていて興味深かったけれど、この小説をミステリーとして読むのは、かなり無理があると思った。私は万葉が一体どこから来て、何者なのかって知りたいと思ったけれど、それはあえて謎のままなのか。とても、ライトで読みやすいんだが、もっと、それぞれの内面を深く掘り下げたものを読みたかった。万葉の時代のおどろおどろしい雰囲気を通して醸し出してほしかった。それじゃ、坂東眞砂子になっちゃうか。