なんてつメモ

どうってことない日々のあれこれ

君の涙ドナウに流れ ハンガリー1956

2006年 ハンガリー 時間:120分
監督:クリスティナ・ゴダ 出演:イヴァーン・フェニェー/カタ・ドボー/シャーンドル・チャーニ/カーロイ・ゲステシ

これは1956年に起きたハンガリー動乱を舞台にした作品。このタイトルは何だかロマンチック過ぎて、ギャップありすぎです。半世紀前の史実をようやく映画にすることが出来たってことの意味はとても大きいんだろうと思った。それにしても、私は世界の近現代史について無知といっていいので、こういう受け止めるには重い作品でも知ることの一歩としては観るべきだわと思った。
水球ナショナルチームの一員でもあるカルチ(水球も大概マイナースポーツですが、この映画の水球シーンはすごい迫力ものです)が、学生たちの反政府デモに感化されて、デモを起こそうとする首謀者の一人でもあるヴィキにも心惹かれ、行動を共にしようとする。その前に秘密警察に連行される場面や共産政権が倒れることを願っているカルチの祖父が出てくるので、本当にハラハラさせられる。ヴィキにはこうした行動に出るための動機つけがしっかりあるのに、カルチは若さの無謀さしか感じられなくてがっかり。カルチはナショナルチームのメンバーがあるがゆえに、行動を監視される面もある一方でスポーツで結果を出すことで守られている面もある。実際、騒乱中でも無事にオリンピックに参加できるわけだ。そこの矛盾を感じてしまって、カルチがよくわからなかった。別に無理に恋愛をこの作品に入れなくても成立するんじゃないかなぁ。彼が栄光をつかんだ後、帰国したときに目にしたものを考えると彼がどういう生き方をたどったのか考えてしまう。ただ、今の状況を何とかしたいという気持ちを抱きつつも、何も出来なかったって人たちが大勢いたんだろうなぁ、カルチはその象徴でもあったのかなぁ。
その国民の願いをいとも簡単に封じ込めてしまう軍事力の圧倒的な強さが恐ろしかった。
ヴィキ役の女優さんの目がとても強い意思を感じられて印象に残った。