なんてつメモ

どうってことない日々のあれこれ

ヒトラーの贋札

2006年 独・オーストリア 時間:96分
監督:ステファン・ルツォヴィッキー 出演: カール・マルコヴィクス/アウグスト・ディール/デーヴィト・シュトリーゾフ他

ヒトラーの贋札 [DVD]

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ヒトラーじゃなくて、ナチスだよね?このほうが目を引くからだろうけど。ナチスの「ベルンハルト作戦」を基にした作品。ナチが作り上げた収容所の中のヒエラルキーが本当に身の毛がよだつほどに狡猾で、微妙な立場と身分の中で、命を担保にして贋札作りを成功させなければならない心中は私には想像がつかない。ただ、信条・主義を貫こうとする人もいれば、保身に走る人もいるし、他人を貶めようとする人間模様も描かれているけれど、誰が良くて、誰が悪いかとは言い切れない。
あと、収容所の中で、銀行家だったらしい人が主人公の犯罪人の印を見て、こんな奴と仕事を組まなければと嘆く場面があったけれど、そんな描写が極限の世界の中でもつまらないプライドを持ち込んであったりして、興味深いものがあった。
あと、北朝鮮に拉致された人たちの中で優秀な技術者たちが同じように贋札を作らされているという噂があるけれども、その人たちのことも重ねて観てしまう部分もあって、やっぱりどうしたって生き抜いていて欲しいと思う。

それにしても、ドイツでは、ナチスをテーマにした映画が毎年のように製作されて、私も年に1本ぐらいは観ているような気がする。その生真面目さ(と言ってもいいのかどうか難しいけれど)が重たい。これが贖罪なのか。それだけの傷をナチスは残していったってことか。その一方でイスラエルの行状をどう思っているのか尋ねてみたい気もする。