なんてつメモ

どうってことない日々のあれこれ

ミルコのひかり

2005年 イタリア 時間:101分
監督:クリスティアーノ・ボルトーネ 出演:ルカ・カプリオッティ/シモーネ・グッリー/アンドレア・グッソーニ/アレサンドロ・フィオーリ/ミケーレ・イオリオ他

ミルコのひかり [DVD]

ミルコのひかり [DVD]

事故で中途失明したミルコが盲学校へ編入して、その環境になじめずにいたときに、ふとしたことで手に入れた録音機を使って、音で自分の世界を表現することを思い立つ。目が見えていたときにはそんな様子は微塵もみせなかったのに(好奇心旺盛そうだったけど)、光がうっすらとわかるほどの視力でテープを継ぎ接ぎしながら編集する様子や外に自転車で抜け出してみせたりと、行動力には驚かれながらもワクワクさせられる。そんなミルコを見守っている先生もいながらも、校長先生はそんな破天荒なミルコを決して許さない。この構図が善悪に簡単に分けられているのが腑に落ちない。校長先生は全盲であって、彼の人生の経験を踏まえて盲学校の教育を実践しているだろうけど、そんな説明を一切しない。一方でミルコを見守る立場の先生は健常者である。
ミルコの音の世界は先生を味方につけ、同級生たちを巻き込んで大掛かりなものになる。彼らが文化祭で行った音だけのお芝居は本当に素敵だった。だけど、それが盲学校を全否定に繋がるのがさっぱりわからない。障碍のあるなしに関わらず子供たちが様々な可能性を認めるならば、様々な教育の選択肢を用意してやるのが大人の務めってもんじゃないのかしら。映画の最後にイタリアでは盲学校を廃止する法律を制定したって字幕が出たときに、その持って行き方は違うでしょ?て思った。それは余計だ。多分、それだけの恨み辛みが、ミルコ少年にはあったのだろう。

実際には法律としては廃止だけど、自治体が盲学校を継続するかどうかは判断を委ねられているそうだ。なので、まるきり盲学校がないというわけではないらしい。普通学級に通学するのには、それなりの手厚い教育援助も出来ているってことだとは思う。善悪の構図が単純化しすぎていて、そこらへんが残念に思った。