なんてつメモ

どうってことない日々のあれこれ

篠田節子 コンタクト・ゾーン 文春文庫

コンタクト・ゾーン〈上〉 (文春文庫)

コンタクト・ゾーン〈上〉 (文春文庫)

コンタクト・ゾーン〈下〉 (文春文庫)

コンタクト・ゾーン〈下〉 (文春文庫)

独身女性3人組がリゾート地へ旅に出て、そこでクーデターに巻き込まれてというストーリー。
3人とも、一見恵まれているようで色々と自分の中に鬱屈を抱え込んでいるところは「女たちのジハード」で、クーデターに巻き込まれる展開は「インコは戻ってきたか」みたいなだなぁーと、いささかデジャヴを感じながら、読んでいく。
彼女達が性質の悪いところは、クーデターが起きているのを承知の上で現地に向かったところなんだけど、そこいらへんの苛立ちが現地係員の男性の目を通して、伝わってくる。係員は日本人男性なので、苦々しく思っているけれど、見た目ほど彼女はバカではなさそうだ。激しく誤解を持ったまま、彼女達への反発も手伝って、彼は勢い余ってクーデターに巻き込まれる辺りの描写はすごく興味深くて面白かった。そこから、頼れる人たちを失った彼女達はさまよいながらも、何とか匿ってくれそうな村に辿り着く。そこでの、革命軍や村の長などのそれぞれの視点からみたクーデターの実情なども、実際にこんなものだろうなぁーと思う。意外と活躍している3人も面白い。
だけど、最後の最後でその道を選んじゃうの?って感じで少しがっかり。なんだか物騒な「自分探し」だよ。