王の男
2006年 韓国 時間:122分 配給:角川ヘラルド映画
監督:イ・ジュンイク 出演:カム・ウソン/イ・ジュンギ/チョン・ジニョン他
シネカノン神戸にて鑑賞
ここのタイトルとポスターを見れば、誰だって耽美な印象を持つと思うのだけど。
映画の中では、余りセクシャルな部分での「男」って感じではなかった。暴君の王は、幼少期に母親に死に別れて(その死因と、この王様の最期がリンクするのが何とも)そこから精神的な成長が止まったままというか未熟な人間で、精神的なよりどころを女形の芸人であるコンギルに求めていたのかも。母親の面影をコンギルに見たのかもしれないと思った。
ただ、コンギルは妖艶というよりも、綺麗なおにいちゃんで余り聡いようにも見えない。よく言えば純朴なのか?一応、タイトルになるのだから、それなりのキーパーソンになるのだろうと思っていたのだけど、相方のチャンセンの方が断然魅力的です。男気あふれる芸人魂を持った人なのですよ。彼ならどこでも上手くやっていけるような気がする。彼が命の危険を冒してまで、コンギルを守ろうとしているのかよくわかりませんでしたが、ラスト近くの2人の綱の上の芸では涙してしまいました。やっぱり、チャンセンの心意気にやられたというところかな。
ラストの情景は、2人が本当に求めていたものかもしれない。それを実現させるには、コンギルは余りにも優しいというか弱かったのかもしれない。
重臣が本当に暴君のためを思って、コンギルとチャンセンを使って一芝居を打つんだけど、暴君は精神的にも未熟だったかもしれないが、本当におバカだったのかもしれません。器ではない人が上に立つと、仕える人間は大変ですね。
この映画の冒頭で王宮楽団がヘグムを演奏する場面が出て、初めて見られてちょっと嬉しかったりした。あと、大衆芸能だけど、かなり下品で下劣なのでびっくりしたよ。あれを女性までが喜んで見ていた場面があったので、カルチャーショックかも。韓国って、儒教文化だから表面的には慎み深いようで、本音と建前の差が日本より激しいのかなぁなどと思った。違っていたらごめんなさい。
- 作者: キムテウン,前川奈緒
- 出版社/メーカー: 角川書店
- 発売日: 2006/11
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