なんてつメモ

どうってことない日々のあれこれ

さよなら子供たち

1987年 西独・仏 時間:106分
監督:ルイ・マル 出演: ガスパー・マネス/ラファエル・フェジョー/スタニスラフ・キャレ・ド・マンベール他

さよなら子供たち [DVD]

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この映画のなかには、様々な事情を抱えた子供たちや大人たちが出てくる。
差別する側や差別される側、権力と反権力。それを、良いとか悪いとか追求せずに淡々と描いていく。
第2次大戦中に寄宿舎に入ることは、学童疎開みたいなものなのかな。父兄参観のときの神父さまの説教には、心に響くものがあった。けれど、それに反発する人もいる。そんな中でのレストランの一件は、ジュリアンやジャン・ボネにとっても、その場にいたお客さんたちにもこれからフランスに忍び寄ってくる黒い影をまざまざと感じさせられる。その反面、フランス人の心意気みたいなものを感じられる。そして、ジュリアンがママのことが大好きなんだって伝わってくるのだ。

寄宿舎の料理番を首にさせられたジョゼフが寄宿舎がユダヤ人を匿っているを密告したことをジュリアンが知るものの、彼に対して何にも言えずに立ち竦む。そこで、ジュリアンが初めて彼との力関係をはっきりと理解してたじろぐんだよなぁ。あれは、すごく心に残ったなぁ。あとは、空襲警報の鳴り響く中、ジョゼフとジャン・ボネがピアノで連弾を楽しんで思い切り笑いあうところとか、たまのリクリーエションなのか、チャプリンの映画を観て、神父様も含めてみんな心底楽しそうに笑っている場面とか、必ずしも気の滅入る生活一辺倒じゃなかったことがわかるだけに結末が辛かった。あのラストには本当に心に残る。あんな別れ方は誰だってしたくない。それを心に留めて、この作品に全て注ぎ込んだと思う監督の思いに感嘆させられる。