なんてつメモ

どうってことない日々のあれこれ

太陽

2005年 ロシア・イタリア・フランス・スイス 時間:115分 配給:スローラーナー
監督:アレクサンドル・ソクーロフ 出演:イッセー尾形/トバアート・ドーソン/佐野史郎/桃井かおり

KAVCにて鑑賞

何とも不思議な映画だった。公開するまで、色々と解決しなければならない問題が多かったようだけど、いざ観てみると、これがどうして物議を醸しだしたのかなぁーと思うほどなのだ。なんつーか案ずるよりも産むが易し?みたいな(笑)日本人ですら知っているようで知らない天皇という存在(意義)を外国人から観れば、成る程こういう捉え方になるのかしら。だって、国王でも皇帝でもなく現人神ですもんね。どう解釈するよ?って空気が全編通じて漂っているように思った。

前半が結構緩慢な調子で正直退屈だったけど、後半のマッカーサーと会見してからが俄然面白くなってきた。天皇自身の意識とは別に周囲の関係者、侍従や謁見を許された学者が天皇に接する態度の滑稽さを通り越して寒さを感じる。そこから、天皇の孤独が伝わってきて、ラストの場面でそれが決定的になる。あのときに一瞬だけ垣間見せた素の表情がとても印象的。でも、「人間宣言」をするに至る経緯も結構簡単にしたけれど、あれこそが当時の日本人には衝撃だったんじゃないのかと思うが、それは理解の範疇を超えたからすっ飛ばしちゃったのかなぁ。

アメリカ兵が薄らバカな連中として描かれていて笑ってしまった。それは人としてどうだろうか?と白洲次郎に説教してもらいたいぐらい。あと、皇后役の桃井かおりの目ヂカラが強力すぎて怖かったです(笑)東京の風景はどうみたって、ロシアじゃないかと思いました。