なんてつメモ

どうってことない日々のあれこれ

紙屋悦子の青春

2006年 日本 時間:113分 配給:パル企画
監督:黒木和雄 出演:原田知世永瀬正敏松岡俊介本上まなみ小林薫
シネカノン神戸で鑑賞

前に観た「父と暮らせば」と雰囲気が似ているなぁ、舞台を観ているようだと思ったら、これも松田正隆の戯曲の映画化だった。とても静かな空気の中で、淡々と話が進んでいく。
慎ましやかな生活を送っている家族の会話は、とても穏やかで直接的な表現はないけれども、お互いを思いやる言葉が交わされていて、観ていてそれだけでじんとくる。

朴念仁だけどそれだけにまっすぐな想いを伝える永与とのその後の生活もきっとずっと慎ましやかに暮らしてきた年月があったのだと思う。彼らに未来を託していった、明石大尉を始め多くの人たちの犠牲の下に今の暮らしがある。永与が思わず漏らす言葉の重さがずっしりと伝わってくる。
明石大尉が永与に託した悦子への手紙には一体何がしたためられていたのだろう。少し気になる。きっと悦子はそのことを永与に話はしないだろし、彼も決して尋ねたりはしないんだろう。

それにしても小林薫っていいなぁ(笑)なんか、画面が締まってくる感じだった。若い4人では(といってももう中堅だよね)ちょっと覚束ないなぁって思ったのでなおさら。

淡々とした演出だったけど、決して退屈ではない。なんというか、日本人じゃないとわからんやろうなぁーって美意識の結晶みたいな、反戦映画。