なんてつメモ

どうってことない日々のあれこれ

片桐はいり わたしのマトカ 幻冬舎

わたしのマトカ

わたしのマトカ

映画「かもめ食堂」のロケで訪れたフィンランドで過ごした日々と、今まで旅した土地での思い出を綴ったエッセイ。表紙のデザインもフィンランドぽい雰囲気(と言っても、行ったことないけど)フィンランドの人達の気質や生活習慣に戸惑いながらも、そこから相手の気持を汲み取ってコミュニケーションを取ろうとする、著者の姿勢がとても気持ちがいい。フィンランドで、初めてバスに乗ったときのエピソードは、私も異国の土地ではじめて一人で電車に乗ったときの心細さを思い出して、涙ぐんでしまった。言葉のわからないところへ行くと、何でもないことをするのにも、すんごい緊張の糸が張り詰めてしまって、何てことない優しさに触れると泣けるよなぁ。それが旅の醍醐味ってのもあるのかも。

気さくさ全開ってわけじゃないけれど、無表情だけれど、実は人情味あふれる人達、休日の昼間は閑散としている町が、夜になると酒ビンを道中に割るほど飲んだくれているらしいのに、朝になったら、綺麗に片付いている町。森と湖が大好きな人達。ムーミンが生まれた国には、ムーミンのように何ともいえない怪しさに包まれている。私もムーミンのしっぽを捕まえたい。

フィンランドに行ってみたい!

他にグアテマラに住む弟に会いに出かけた初海外旅行の素晴らしい乗り換え珍道中ぶりとか面白かった。その光景が目に浮かぶ描写が素晴らしいなぁ。役者さんのエッセイって、どなたも侮れませんなぁ。(いや、芝居のできない人はエッセイを書いてもダメダメかも)