なんてつメモ

どうってことない日々のあれこれ

梨木香歩 春になったら苺を摘みに 新潮文庫

春になったら苺を摘みに (新潮文庫)

春になったら苺を摘みに (新潮文庫)

彼女の作品を読んでいると、ここで語られているイギリスでの生活に影響をどれだけ受けたかを知ることができる。下宿先のウェスト夫人、夫人は著者の留学時代の恩師でもあるわけだけれども、仕事を離れてもなお交流が続けられるということは、お互いに共鳴する部分が特に根っこの部分であったのかなぁーと思う。下宿先の外国人たちが異文化ゆえに戸惑いながらも受け入れるエピソードは「理解はできないが、受け容れる」を理解するのに易しい。さりげない気配りや気遣いを何の気負いもなくやってのける夫人のもとでイギリス生活を送ることができたのは、著者にとっては素晴らしい財産であるし、著者の作品を読めることの出来る読者にとっても幸福なことなのだと思う。