なんてつメモ

どうってことない日々のあれこれ

12人の優しい日本人

シアター・ドラマシティ 1列39番目にて鑑賞(マチネ)

作・演出:三谷幸喜
出演:浅野和之/石田ゆり子/伊藤正之/江口洋介/小日向文世/鈴木砂羽/筒井道隆/生瀬勝久/温水洋一/堀内敬子/堀部圭亮/山寺宏一

以前に映画化されたものを観ているので、映画と舞台は別物だと承知していても、どうしても比較してしまう。
とりあえず、今回の舞台版のキャストの方が映画版よりも豪華だ(笑)劇場ロビーも他の芝居のときよりも花束の数が多くて、さらに豪華だ。仁左さまから江口洋介に花束が届いていたよー。すっげー。それはともかく、群集劇としての出来は映画のほうが完成度が良いのではないかなぁ。うーん、舞台慣れしていない役者さんがいるせいなのか、「間」が取れてないような印象が残った。もしかしたら、不慣れさをスピードでカバーする演出なのかもしれない。どうなんでしょ?前半はゆるーい調子だったのに、後半になったら、時間の遅れを巻き返すが如く、最後まで突っ走って行ったって感じ。後半は、丁丁発止のやり取りで事件の状況を検分していく面白さがあったし、最後全員一致の回答を納得の上で出した、という爽快感が映画の醍醐味だったと思うのだけど、この舞台では生瀬勝久演じる陪審員2号の思い入れだけが残ってしまい、何かすっきりしなかったです。こういう演出だと言われれば、それまでですが。うーん、私が彼を余り評価していないからかもしれない。

あと、舞台は観客に見えやすいようにやや前傾にしているけれど、私の観た席からはどうしても死角が出てしまい、真中辺りのお客さんがどっと沸いているのに、状況が見えないってこともあったので、芝居にもひとつ入り切らなかったってのもある。今回、補助席は出せるところには全部出した状態になっているので、かなり見え難い席が多いと思う。それに、舞台は12人の役者が出ているわけですから、声はすれど姿が見えず状態は結構あった。覚悟して観てください(爆)

浅野さんは舞台をきちっと締めていたなぁー。小日向さんはちょいワルでした。知能犯?筒井道隆はいっつも筒井道隆だけど三谷作品だとそれが良い結果に出ていると思う。なんていうの独特の存在感ってヤツか。温水さん、熱演でした。堀内敬子は四季退団以後、初めて私は観たけれどコメディもOKなんだねー。この人演じるタイプの人ってどこにも必ずいそうだ。石田ゆり子はねー、うーん、あれが彼女に出来る精一杯だろうなぁー、その拙さも込みで書いていると思う。江口洋介はカッコ良いよね(爆)むっちゃ美味しい役なのに彼には勿体ないです。

初演の東京サンシャインボーイズ版の舞台を観られなかったことを残念に思った。この舞台は華やかさよりも芝居の駆け引きみたいなものも楽しみたいと思うんだけど、どうなんでしょう?三谷さん演出の舞台は年々出演者も華やかになってきて、テレビ出身の人も多いけれども。小市民が醸し出すおかしさが共感となって笑いを作るのが、身上だと思っていたけど、なんだか綺麗にまとまっちゃったー感がした。確かに2時間の舞台を楽しめることは出来たけど、私が観たいのはこれじゃない、と思った。