なんてつメモ

どうってことない日々のあれこれ

山之口洋 完全演技者(トータル・パフォーマー) 角川書店

完全演技者

完全演技者

以前読んだ「オルガニスト」の世界にはまりこんだので、この作品も「音楽ミステリ」らしいと聞いて飛びついた。「オルガニスト」自分の音楽の才能をいかに昇華させるかの一点に突き進んだけど、これは微妙に方向性が違うのよね。なんだろう。ガウディの「サグラダ・ファミリア」と同じ印象を抱いた。ネモは個人であるけれど、ネモの作り出す世界はネモを超えていて、進化していく。
ネモがクラウス・ノミをモデルとしたのは、読後知ったことだけど、こんな人が実在したことが驚きだなぁ。まさに、それが80年代の空気かもしれない。ストーリー展開もこの年代だからこそ成立する話でもあるし、虚実入り混じった独特の雰囲気の世界が楽しめた。
ただ、いささか強引すぎる展開でもう少しボリュームが欲しかったなぁ。なんか、登場人物の関係性が衝撃的なのにさらーっと進んでいくんだもの。もっと、ためて!って感じ(笑)
そうしないと、ネモが生々しくなるからだろうとは思うんだけど。

しかし、シュウはネモの美声の秘密を知っているのに、よく決心したよ。


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